痛み止め(鎮痛薬)の注意点
痛み止めの正しい使い方を知っていますか?
痛み止め(鎮痛薬・シップ薬)はつらい時には大変便利な薬ですが、薬が効いた=治った ではないことをあなたはご存知でしたでしょうか?
実は、この点について誤解されている方が非常に多く、これが原因で痛みをさらに悪化させる「悪循環」を招く要因にもなっています。
もし、あなたが
- 痛み止めを使う頻度が多くなってきた
- 痛み止めの薬が効かなくなってきた
- 薬の種類が増えた
痛み止めの薬というのはあくまでも痛みを抑えるに過ぎず、決して治しているのではありません。
治っていないからこそ、薬の効果が切れれば痛みは再燃します。
また、一定期間(二週間以上)使っているにもかかわらず効果が見られない場合は、症状に適していない薬が処方されている可能性が高いので注意しましょう。
痛み止めは補助的に使おう
病院で処方される痛み止めの多くは「消炎鎮痛剤」と言われるものが代表的です。消炎というわけですから炎症を抑えることが主な目的です。(非ステロイド性抗炎症薬:ロキソニン、ロルカム、ボルタレン、セレコックス、バファリン等)
炎症とは、発赤、腫脹、発熱、疼痛、が伴う場合において炎症があるとされています。打撲や骨折をすると、腫れて赤くなったところが熱を持って痛みます。
これが典型的な炎症症状です。
しかし、慢性痛の多くは炎症を伴わない痛みであり、効果もそれほど期待できるものではありません。
また、消炎鎮痛剤は痛みを和らげる作用もありますが痛みの原因が治っていないのに楽になるのはかえってよくないこともあります。
その理由は、本来10の痛みを5や7などに抑えることでこれまでと同じ生活をすることができるからです。
体の状態が良くなって、痛みが5や7に落ち着いてくるならいいのですが、薬で抑えたものは本質的には10のまま変わりません。
そんな状態で無理(これまでと同じ生活)をしたらどうなるでしょうか?
かえって、痛みがこじれてしまうのではないでしょうか?
痛み止めの薬は、火事をサイレンで知らせてくれる火災報知機の電源を切ってしまうことに似ています。
火事を消してサイレンが鳴りやむのならいいのですが、電源を切るだけではそのまま燃え広がっていくことになります。
火を消さないことには火事は収まりません。
痛みもこれと同じで原因を治さないことには痛みは治らないのです。
こうして考えていくと、痛みを薬で抑え続けることが体にとって良いのかということになります。確かに、つらい痛みが収まることで生活が楽になることもあるでしょう。
ですから、薬はあくまで痛みを一時的に抑える為だけに使い、その間に痛みの原因を治していくことが大切です。
しかし、その肝心な原因治療はほとんどの医療機関で行われていないところが、この慢性痛治療にとって大きな問題であると感じています。
※薬だけに頼るのは、かえって痛みを引き寄せることにつながりますので補助的に使いましょう。
追記
患者さんが服用される鎮痛薬に変化が出てきています。
カウンセリングをしていると、これまでの消炎鎮痛剤とは別の作用機序を持つプレバガリン(リリカ)をよく耳にするようになりました。(この薬は2010年に承認された新薬です)
良くなる可能性を模索するために薬を試すのは決して悪いことではありませんが、痛みが良くならないという理由だけで安易に処方され過ぎています。(子供にも処方するなんて行き過ぎでは?)
これは、慢性痛に対して消炎鎮痛剤が思うような効果を見せないことから、こうした流れになってきているのだと思いますが、この薬の作用機序からして期待ほどの効果は出ていないと感じています。
*リリカは神経の障害に対して効く薬、当院が提唱する慢性痛の原因になっている筋肉のトラブルは神経の障害ではない
また、これらの薬でも効果が見られない場合は、さらに強い薬が処方されます。(トラマール、トラマドール、トラムセット等)
これらの鎮痛薬は、一般的な痛み止めより作用が強いです。(副作用も強い)
作用が強くても、対症療法には変わりないので根本的に治るわけではありません。
大切なのは、薬のみに頼ることなく根本治療を行うことです。
もし、あなたが薬だけの治療を受けられているのでしたら、他の方法を模索されることをお勧めします。