自然治癒力を支える食生活
血液の質は食事で変わる
人間の体には、血液(赤血球、白血球、リンパ、血漿)という大切のものが存在しています。自然治癒力を掘り下げると、この血液の存在がとても大きな役割を果たしていたことがわかりました。
体はおよそ60兆個という数の細胞で構成されていますが、その数の細胞を養っているのは何だと思いますか?
答えは、全身いたるところに流れている血液です。
血液がくまなく循環することで、細胞への栄養、酸素の供給、老廃物の回収など新陳代謝に関わる全てのやり取りが行われています。
その大切な血液は骨髄で造られているといわれていますが、ではその元となる材料とはいったい何でしょうか?
血液の材料は、ズバリ食べ物です
あなたが、普段口にしている食べ物が血液の材料として細胞の栄養となり体を構成しているのです。
食事→消化吸収→血液→細胞→組織→臓器→体
食べたものが血液の材料になるのだから、血液の質は食べ物の質に左右されるといえます。
体(治癒力)を変えたいのであれば、元になる食事を見直してみましょう。
食材の質に注目する
食べたものが血液になり、いずれ細胞、体へと変化していくのなら食べたものの質によって体も変わるということが考えられます。それは、質の高い部品で構成された車は故障が少なく、質の高い木材で建てられた家が良いように私たちの体もそれらと共通しています。
では、現代人の食生活をこのようなポイントに注意して見るとどうでしょうか?
手軽なインスタント食品や加工食品、化学薬剤を多用した輸入食材、またそれらを利用した惣菜やお弁当の数々。
そして、私たちの健康には欠かせない発酵食品までもが力の無いものへと変わってしまいました。
本来、味噌や醤油などの発酵食品は熟成されたものの方が酵素も多く、栄養価、うまみもあるのですが市場に多く出回っているものは食品添加物が多用され、見た目は同じでも中身は全く違います。
今の食物は、確実に生命力が不足していると言えるのではないでしょうか?
そして、さらに懸念されるのは人間の都合に合わせ過ぎたことで生じた歪みです。これは、抗生物質の乱用による耐性菌問題、一代交配種による未来への影響、化学薬剤を多用したことで地力を失った大地、こうした影響は少しずつ私たちの体に現れてきていると考えられます。
そうした中でも、やはり直接体に影響を与えているのは、日常の食生活です。
経済の発展に合わせて進んだ食生活の大幅な変化が私たちの体質を悪化させてきたのです。
現代人は、食感の向上と引き換えに必須栄養素を排除してきました。その代表的なものには「白米」があります。確かに、味は美味しく食べやすくなりましたが、白米は、米が白いと書いて粕(かす)となるように必要な栄養素をそぎ落としたいわゆる贅沢な食べ物です。
近年、特に口にするようになったパンも同様です。(体への影響は米よりも高い)
精製された穀類を主食とするからには副食をこれまで以上に大変充実させなければいけません。
しかし、その副食の主役である農作物は慣行農業によってビタミン、ミネラルが失われ、必要な栄養素を補おうとすると大量摂取の必要があり実際にそんなことは不可能です。
つまり、精製食品を主食とした現代の食生活ではほぼ確実に体に何らかの影響が出てくるということです。過去の有名なエピソードでは、江戸患いや陸軍の脚気問題がありましたね。これらは、ビタミンに限っての話でしたが現代は複合的な栄養問題が関係していることでしょう。
慢性疾患が存在しなかった時代の食生活に近づけることが健康改善の決め手となります。
(ベストを目指すのは現代ではハードルが高いのでベターを目指しましょう)
良い食材、良い調味料が高いと言っても何万円もするわけではありません。
高い健康食品に手を出す前に、こうした毎日の食事を充実させた方がよっぽど体の利益につながります。もう一度、日頃口にしている食材に目を向けてみることからはじめてみましょう。
マイナスの栄養学のすすめ
「○○を食べれば健康にいい!」「△△が長寿の秘訣!」「新成分□□をたっぷり配合」
健康を手にするためには、メディアも一般の人も何かを「摂る」ことばかりに注目しています。
確かに、体に必要な栄養素は摂らなければいけませんが、現代人が本当に注目しなければならないのは摂りすぎているものを減らすことです。
高度経済成長によって日本は食生活が豊かになったと言われていますが、糖尿病、ガン、アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患、脳こうそくなどの生活習慣病が近年増え続けてきたのは何故でしょうか?
実は、それは食生活が豊かになったのではなく、その逆で貧しくなったからです。
日本に限らず、生活習慣病の無い先住民族は、地産地消が原則で常に新鮮なものを食しています。
そして、近代加工食品の摂取も皆無でした。そのおかげで現代人が悩まされている健康問題もありませんでした。
日本では、都市部に移行するにつれその原則に反比例しています。
「摂るべきものが少なくなり、摂らなくていいものが増えている。」
この傾向が、確実に日本人の体質を悪化させているのです。
もちろん、栄養は摂ることも大事ですが、何を摂らないようにするかにも注目しましょう。
体質と食の関係
今の日本は、世界中から様々な食材を輸入しています。その結果、食卓には世界各国様々なものが並び、日本の食文化というものが消えてしまいつつあります。農水省調べによりますと、50年前と比べるとお米の消費量が約半分に。その代わり小麦の消費量が約4倍になっています。これは、お米の代わりに、パン食が普及したことを示しています。いも類も、約半分になっています。肉類、油脂類は13倍以上、乳製品は約30倍になりました。食生活の急激な欧米化が日本人の体調を狂わす大きな要因になってしまったのです。
アレルギー、高血圧、糖尿病、肥満、ガンなどの生活習慣病は、まさにこれらの影響と言えるでしょう。 戦後から一気に変わってしまった食生活ですが、なぜ日本には日本の食文化が長い年月続いてきたのでしょうか。それは、日本の気候風土に合った作物だけが収穫を約束され、その条件で育った作物のみを食してきたところにあります。つまり、これは体にいいからとか、○○が良くなるとか考えないでその土地で採れるものを食べていただけなんですね。
それが、結局体に良いことにつながっていたんです。もちろん、中には間違った習慣によって寿命を縮めていたことも判明しています。(参考文献 日本の長寿村・短命村)
誤解の無いようにお話しますが、肉や乳製品、油が悪いわけではありません。国によっては、野菜がどうしても不足してしまうこともあるでしょう。 そういった国の人たちは栄養を補うために肉や乳製品が必要です。しかし、彼らはそうした食習慣でも健康を害することはありません。伝統的な食習慣を守り続けている限り退行性病変とは無縁なのです。
「何を食べたら健康になれるのか?」
これについては、各方面から様々な理論が展開されております。
ベジタリアン・糖質制限・肉食奨励・原始人食・マクロビオティックなど、「食」という同じテーマを扱っているはずなのに主義主張は全く違うのです。これでは、一般の人たちは何を信じたらよいのでしょうか。
私自身も職業柄、これについての研究・自身の体で実践してまいりました。そこで得た結論は、生活習慣病の無い時代に食べられてこなかったものを食べ過ぎない事、自分の代謝能力に合わせた食生活を送る事、これに尽きるということです。
確かに中には、体質改善を極めた結果「一日青汁一杯」のみで元気に過ごしていらっしゃる方がいるのも事実です。しかし、その域まで達せられる人が何人いるでしょうか。やはり、食生活というのは寿命が尽きるまで続く習慣ですから無理なく続けられるものが良いと思うのです。
当院では、「玄米菜食」「糖質制限」などのカテゴリーに縛られず、栄養の過不足を考慮しながら食生活の改善を勧めています。
現在、病気に悩まされている方は現代人が摂りすぎている「精製炭水化物」「酸化脂質」を摂取しないことから始めてみましょう。
*精製炭水化物: 砂糖 ブドウ糖果糖液糖 白米 精白小麦粉を使用した食品(パン等)
*酸化脂質: 揚げ物 高熱で調理した肉類 加工肉 加工油脂 等
子供の健康が危ない
毎年の医療費の増加に合わせて、生活習慣病の低年齢化が加速しています。
現在、生活習慣病にかかっている高齢者の幼少期には、現代の子供たちがしているような食生活とは無縁でした。しかし、それでもこうした病気にかかってしまっているわけです。
では、現代の子供たちが今の食生活をこのまま維持していったらどうなるのでしょうか?
これは想像するだけでも怖いですね。
当院では、10代の患者さんも珍しい光景ではなくなりつつあります。
そして、これらの患者さんの症状は現代医療(化学薬剤)では全く歯が立ちませんでした。高齢者にはごまかしが効いても、子供には通用しなくなってきているということです。(それだけ深刻な問題です)
食生活のゆがみで生じた体質の悪化は、食生活を改善するしか方法はありません。
当院では、正しい食習慣を施術を通して伝えています。
心と体を蝕む食習慣より、心と体を造る食習慣に変えていきましょう。