ゆがみが痛みの原因って本当?
ゆがみがあるから痛くなるのではありません!
- 体・背骨がゆがむと痛い
- 骨盤がゆがんでいると痛い
ただ、よく言われているからといって、必ずしもそのことが正しいとは限らないのですが、いつのまにか正しいこととして世間には浸透しています。
これは、痛みの一面が見えているだけに過ぎず、痛みの本当の姿を捉えているわけではありません。
実は、ゆがみというのは痛みに影響することはあっても直接の原因にはならないのです。
体のゆがみには、医学的にも脊柱側弯症という病気が広く一般的にも知られています。
では、この脊柱側弯症。全ての人が痛みを訴えているでしょうか?
実際はNOですね。
「ゆがみが痛みの原因である」という説明が成り立つのなら、ゆがみがあり続ける限り常に痛みに悩まされなくてはいけません。
しかし、実際にはゆがみがあっても痛くない人はいますし、ゆがみが無くても痛い人はいます。
そして、人間には利き手、利き足というものがある以上、体が全く均等になっていることはありません。
つまり、誰もが大なり小なりゆがみを抱えており、視覚的に見て目立つか目立たないかだけです。
ですから、「ゆがみがあるから痛い」という説明は正しいようで正しくないのです。
下の画像をご覧ください。
後者は、頭と肩の位置が前方に移動することで背中が丸みを帯び、猫背の様相を呈しています。
肩こりの人は、このような姿勢になっていることが多いですが、この姿勢自体が悪いわけではありません。(だからといって良いわけではありませんが)
確かに、頭の位置が前方に移動していますので僧帽筋をはじめとする背筋群には持続的な負荷がかかり続けます。
しかし、この持続的な負荷に耐えられるだけの筋力を維持していれば、肩こりに悩まされることはありません。
つまり、肩こりというのは、自分の頭の重みを支えきれなくなった筋肉達の叫びが症状として表れたものなのです。
オリンピックの金メダリストである「ウサイン・ボルト選手」
ボルト選手は、側弯症という背骨のゆがみを抱えたまま、そのハンディを乗り越えて幾度もメダルを手にしてきました。
私は、このボルト選手からゆがみと痛みの関係について大切なことを気づかせてくれました。
体のゆがみは直接痛みの原因にはなりません。あくまでも二次的なものであって、筋肉のコンディションこそが痛みを左右する主要因になります。
骨盤のゆがみについて
骨盤のゆがみは、メディアでもよく取り上げられていますのでご存知の方も多いかと思います。
そして、「骨盤を矯正します。」という謳い文句で施術を行っている院も少なくありません。
では、果たして本当に骨盤を矯正することは出来るのでしょうか?
答えはYESでもありNOでもあります。
実は、「骨盤を矯正する」という意味の捉え方次第で答えは全く違うものになってしまいます。
ちなみに、施術を受けた後に矯正できたと言っているのは「骨盤」ではありません。
骨盤周囲の筋肉に変化が出たことで骨盤が整っているかのように見えるだけです。
足の長さがそろったと言っているのも一時的なものですし、こうした変化というのは持続効果が乏しくすぐに元に戻ります。
「じゃあ、骨盤矯正って意味ないんじゃないの?」って思っちゃいますよね。
そうなんです。施術を受けるだけの骨盤矯正は意味がないと私は思っています。
骨盤というのは、仙骨を腸骨がはさむような形で構成されています。そして、その形を維持するために強力な靭帯と恥骨結合によってつなぎ止められています。
ですから、この骨盤自体ゆがむということは事故でも起きない限りあり得ません。
実は、骨盤がゆがむという現象は、骨盤そのものがずれるというわけではなく、体全体を通して見た場合に骨盤がどの位置にあるのかということが骨盤のゆがみの本当の意味になるのです。
その骨盤のゆがみを視覚的に捉えたものが下の表現になります。
- 骨盤前傾姿勢
- 骨盤後傾姿勢
赤の方向に骨盤が傾けば骨盤前傾姿勢となり、青の方向に傾けば骨盤後傾姿勢となります。
左右の傾きについては、背骨の側弯とリンクしますので割愛させていただきます。
あなたの骨盤は前傾タイプ? それとも後傾タイプ?
骨盤前傾タイプは、女性や股関節痛患者さんに多い姿勢です。上向きで寝ることが苦手なのが特徴です。
骨盤後傾タイプは、腰が曲がっている高齢者に多い姿勢です。膝や股関節が伸びきらない傾向にあります。
一般的には、骨盤はやや前傾した姿勢が理想とされています。
その理由は、骨盤の上にある背骨には生理的湾曲というものがあり、その背骨がS字カーブを描くためには骨盤はやや前傾した方が良いとされているからです。
では、これら骨盤の傾きは何によってもたらされているのでしょうか?
答えは、筋肉ですね。
筋肉は背骨のゆがみにも影響していましたが、骨盤のゆがみにも影響しているのです。
つまりこれは、体のゆがみ(姿勢)は筋肉の働きによって左右されるということなのです。
そして、その筋肉の中で最も重要なのが抗重力筋と呼ばれる筋肉群です。
私たちの体にある筋肉は、全て同じ働きをしているのではありません。
重力の存在する地球に住む以上、その重力に抵抗するだけの力が必ず必要になります。
その働きを担っているのが抗重力筋群であり、その筋肉に注目することでゆがみの正体、すなわち痛みの本質にたどり着けることが出来るのです。
結論:ゆがみそのものを診るより、そのゆがみをもたらしている筋肉の健康レベルに目を向けよう。